インドにおける直接税にかかる税務訴訟手続き

January 22, 2022

インドで経営に関与していると、社内のインド人スタッフ、あるいは業務を委託しているコンサルタントから“通知(Notice)が届いた”と言われるケースが多く発生します。通知は各当局から発行されますが、召喚状としての通知の場合もあれば、査定に基づく申告内容の確認を求める通知、あるいは、評価に基づく追徴通知など内容は様々です。

現在、通知の送付およびその後の初期やり取りに関しては、ほぼ電子化されており、例えば所得税当局からの通知を受領した場合、所得税当局のポータルを利用して要求される資料や情報をオンラインで提出し、税務当局とフェイスレスでやり取りを行います。

例として、査定に基づき詳細な情報を求める通知を受領した場合、納税・申告側は通知受領後にオンラインで当局の要求する資料や情報を提出します。提出された情報や資料を基に、再度当局側で内容を精査し、更に追加の資料が必要であれば、オンラインで連絡が届きます。


評価に基づく追徴にかかる通知の場合、納税・申告者側でその内容を確認し、もし当局の要求する追徴額に誤りがなければ、要求に基づく納付、および申告を行うことになります。もし当局との認識に齟齬が生じている場合は、オンラインでその旨を説明していくことになります。

上記のようなオンラインでのやり取りは、下記図におけるAOと呼ばれる①査定担当官とのやり取りとなりますが、無事に解決出来た場合は、当局側から終了通知(”Nil” Demandなど)が発行されます。

一方で、担当官とやり取りした結果、納税・申告者側に不利な決断が下された(例えば、納税要求額決定通知が発行される、など)場合、あるいは下された判決内容(=アセスメントオーダー)に納得がいかない場合は、不服申し立ての手続きを行うことになります。不服申し立て手続きは、段階的に②CIT(A) ⇒ ③ITAT ⇒ ④高等裁判所 ⇒ ⑤最高裁判所と進んでいくことになります。


尚、②のCIT(A)で5年以上未解決(ペンディング)となっている訴訟案件は3万件超に上るとも言われており、早急な訴訟解決に向けた対応として、フェイスレスな訴訟制度(電子控訴制度)を導入することで、効率性を高める動きも進められていますが、実際の施行には、まだ至っていません。


今回は、インドにおける直接税の訴訟手続きに関してご紹介させて頂きましたが、それ以外でも訴訟含めて気になることや、ご不明点等ございましたら下記のお問い合わせよりお気軽にご連絡ください。

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