法人設立時に必要なシンガポールの取締役の役割

December 11, 2021


こんにちは。
MBGコーポレートサービスです。

今回は、シンガポールにて現地法人設立を行う際に必要となる取締役の定義と、その主な役割について解説いたします。

シンガポール現地法人設立時に最低1名の取締役を置くことがシンガポールの会社法(Companies Act)において定められています。

このページを読むことで、シンガポール現地法人設立時に必要となる取締役の資格や法的義務等が全て明快になりますので、一読の価値ありです。

取締役の資格要件



取締役とは、ただ名前だけではなく要件を満たす必要があり、シンガポール現地法人の取締役に就任するためには、以下の条件が必要です。


① 満年齢18歳以上であること(Companies Act 145条2項)
② シンガポール及びその他の国において破産者でないこと
③ 過去5年間においてシンガポール高等裁判所から行為無能力者である決定を受けていないこと
④ 過去5年間において、取締役に就任していた会社がその任期中又は退任後3年以内に支払不能として清算・整理がなされていないこと(1987年5月15日より適用)
⑤ シンガポール国内及び国外において、不正行為による犯罪や会社経営等に関する犯罪による禁固3ヵ月以上の有罪判決を受けていないこと
⑥ 過去5年間において、シンガポール会社法違反により有罪判決を受けていないこ
⑦ 申告書、計算書類、その他商業登記にともなう提出義務に関して、過去5年間以内に3回以上、登記業務を怠ったことにより有罪となった、或いは裁判所から改善命令を受けたことがないこと


上記に加えて、取締役のうち1名はシンガポールの居住者である必要があります。(Companies Act 145条1項)


シンガポールの居住者とは、シンガポールに居住しているシンガポール国籍の者、永住権(Permanent Resident)保有者、又はシンガポールでの就業許可証を保有している者と定義されています。
従いまして、取締役候補としてシンガポールの会社に派遣する駐在員を含めることができます。


尚、シンガポール居住者1名が取締役に含まれていれば、他の取締役は日本在住者でも問題ありません。


また、弊社のようにカンパニー・セクレタリー会社の機能をもつ専門業者を介して名義上の居住取締役(ノミニー・ダイレクター)を手配することも可能です。


取締役の選任にあたり必要な書類



シンガポール現地法人の取締役に選任される者は「取締役就任の同意書(Consent to Act as Director)」に署名する必要があります。

本書類は弊社MBGコーポレートサービスでもご用意することができます。
取締役就任の同意書に関して気になる場合は、以下のお問い合わせフォームよりご連絡くださいませ。

取締役の義務



シンガポール会社法上で定められている義務には、主に以下の4点があります。

①利害関係の報告・開示義務 例えば、取締役が会社から会社財産を買い取る場合は、事前に取締役会に公表し、承認を得なければなりません。
②注意義務 シンガポール会社法157条1項では、取締役は常に誠実かつ合理的な注意をもって業務を行わなければならない。と定めています。 注意義務に違反した取締役は、それによって個人で得た利益を会社に返還する義務があります。 会社に損害を与えた場合には損害賠償義務を負うこととなります。 さらに、S$5,000以下の罰金又は12ヵ月以下の禁固刑に処せられる可能性があります。
③適正な決算を行う義務 シンガポール現地法人の取締役は、適正な損益計算書や貸借対照表、その他の決算書を適時に作成する義務があります。 また、その根拠として十分な会計その他の記録を整理保持し、適切に監査が受けられる状態にしておく必要があります。
④内部統制システム構築義務 *パブリック・カンパニーもしくはその子会社の取締役は、資産を不正な使用や処分から保全し、取引が適切な承認手続きを経て行われ、会計上適切に記録されるための内部統制を構築、維持しなければなりません。 *会社法4条でPublic Company Limited by Sharesとして定められている株主を50名以上にできる会社


MBGコーポレートサービスでは、シンガポール法人設立に必要となる以上のお手続きやコンプライアンスサポートを日本語にて総合的にサポートさせていただいております。
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