シンガポールにおける現地法人、支店、駐在員事務所の比較
December 16, 2021
こんにちは。
MBGコーポレートサービスです。
今回は、シンガポールへの進出(会社設立)を検討していらっしゃる方々向けに、シンガポール現地法人と支店、駐在員事務所の違いを比較しながらご紹介いたします。
大国籍企業からベンチャー企業まで幅広い分野、規模の企業が進出しているシンガポールは今後もビジネスのハブとして選ばれ続けると言われております。
あたたかな気候から住みやすさでも人気のシンガポールでビジネスを始める際に考えられる事業形態しては、現地法人、支店、駐在員事務所の3つがおもです。
ここでは、それぞれの進出形態における手続きや許可されている事業活動の範囲等、現地法人、支店、駐在員事務所の違いについてみていきましょう。
現地法人とは、シンガポールでの営業が可能な法人形態であり、本社が日本にあったとしてもシンガポール法人に生じた問題への法的責任や支払い債務は日本に及びません。
支店の場合、仮に裁判を起こされ損害賠償責任等が発生した際、本店に法的責任が及びます。
また、支店を設立した場合、会社(親会社)の単体決算上の売上高は減少しませんが、現地法人(子会社)を設立した場合、従来親会社の売上となっていた取引を子会社の取引に変更することで、親会社の単体決算上の売上が減少します。(連結決算上は変化なし)
利益及び損失についても同様です。
駐在員事務所は、Representative Officeとして表記され、外国企業がシンガポールに進出する際の最小の企業形態です。営業行為を含む本社と離れた業務を行う事ができません。
基本的な駐在員事務所の活動は、本社の販売促進におけるマーケティング活動と定義される事が多いです。
現地法人、支店設立、駐在員事務所設立手続きにあたって必要書類、条件の観点から、ここではお話しさせて頂きます。
具体的な手続きの内容については別の記事(リンク : HTTPS//aaa)にてご紹介させていただきますが、現地法人設立の場合、定款等の作成に際して弊社のようなカンパニー・セクレタリー会社や法律事務所が用意しているひな型を利用して申請することができます。
一方、支店設立の場合は本店の登記簿謄本や定款を英訳し、公証を取得する必要があります。
駐在員事務所の場合は、英語で書かれた最新の監査済財務諸表と設立証明書を提出する必要があります。
現地法人設立の必要条件は、設立時に最低1名の株主と最低1名の取締役がいることです。株主については、法人株主も可能です。
一方、支店設立の場合は設立時に最低1名の代表権者 (Authorised Representative) が必要です。
駐在員事務所の場合は、本社が設立してから 3 年以上経っていることに加え、売り上げが約3千万円以上、シンガポールにおける駐在員が 5 人未満にすることが必要です。
駐在員の人数に関しても制限がつくところが、駐在員事務所のデメリットです。
申請条件が分かったところで、ここでは現地法人、支店、駐在員事務所の場合の登記料に関して記載させて頂きます。
まず、現地法人設立、支店設の場合においては、設立申請時に商号申請手数料としてS$ 15、登記料としてS$ 300が必要です。
なお、駐在員事務所の場合には、設立申請手数料として年間S$ 200がかかります。
気を付けるべき点としては、毎年登録を更新する必要があることです。
シンガポール現地法人設立後、担う法的義務において代表的なものは以下のとおりです。
1) 取締役会議事録、株主名簿等、法定書類及び帳簿の備付義務
2) 取締役の所有する株式の開示義務
3) ACRAに対する届出事項(取締役の交代や住所変更等)が支店よりも多い
4) カンパニー・セクレタリーを任命する必要がある
支店設立の場合においても、法人税の申告及び納税、監査済み決算書の提出等、一定のコンプライアンスを遵守する必要があります。
駐在員事務所の場合は、上記の条件はないものの2012年の法改訂で最大3年しか駐在員事務所形態をとれないため、計画的なプランや、シンガポールでのビジネスを継続する際にはいつ頃現地法人か支店に変更するのか含め考える必要があります。
法的規制事項に加えて、避けられないコンプライアンスに決算期と決算書の作成期限があります。
シンガポール現地法人の場合は自由に決算期を決定することができます。
決算日から6ヵ月以内に株主総会を開催しなければならないのも現地法人の特徴で、この株主総会までに決算書を作成する必要があります。
日本の場合、決算日から3ヵ月以内に株主総会を開催しなければならないため、通常は最長5ヵ月以内となります。
一方、支店の場合は本店の決算期に合わせなければなりません。
また、本店の株主総会から2ヵ月以内に支店の場合は決算書を作成する必要があります。
現地法人、支店いずれの場合においても毎期決算終了後に決算書をACRAへ登記する必要があります。支店の場合は、支店の決算書に加えて本社(本店)の決算書も併せてACRAへ提出する必要があることも気を付けておくべきポイントの1つです。
ここからは、適用される法人税率に関してです。
法人税率は、現地法人、支店いずれの場合においても17%と比較した際の差異はありません。但し、支店は法人の経営上の意思決定(取締役会等)がシンガポール国外でなされることとなるため、税務上は非居住法人とみなされます。
租税条約の恩恵は居住法人に対してのみ適応されるため、支店は租税条約に基づく軽減税率や外国法人税の税額控除等の規定の適応外となります。(一部適応可能)
駐在員事務所の場合は、そもそも活動が不可能なため法人税が課されることはありません。
法人税に関しては、部分免税として現地法人、支店の場合においては、以下の免税優遇があります。
1) 課税所得の最初のS$10,000 に対して75%免税
2) 課税所得の次のS$190,000に対して 50%免税
日本よりシンガポールの場合は法人税が低く、また部分免税もあるため、現地法人、支店の場合は税金面でのメリットがあると言えます。
法人税の次は、資金移動に関する観点から、現地法人、支店、駐在員事務所を比較してみましょう。
親会社との間で資金移動を行う場合、シンガポール現地法人は親会社と賃貸借の形態をとる必要があります。
一方、支店は親会社の一部であり同一会社とみなされるため、その必要はありません。
よって、支店の場合の方が比較的簡単に資金移動を行うことが可能です。
駐在員事務所の場合は法人格を持たないため、資金という概念がありません。
最後に、営業を終了する場合の手続きの比較に関してご紹介します。
シンガポール現地法人の場合、清算人を指名して清算手続きを行う必要があります。また、最終納税が完了しない限りACRAによる清算承認が行われないため、多くの場合時間を要します。
一方、支店の場合は支店閉鎖通知(Notice by Foreign Company of Cessation of Business)をACRAへ届け出ることで手続きが完了します。
駐在員事務所に関しては、管轄機関であるEnterprise Singaporeで手続きを行う必要があります。
以上のように、現地法人、支店、駐在員事務所を設立に関して比較しましたが、いかがでしょうか。
MBGコーポレートサービスでは、現地法人設立、支店設立、駐在員事務所設立、いずれの形態においてもシンガポールへの進出にあたり必要となる各種お手続きを日本語にて総合的にサポートさせていただいております。
比較情報含め気になる点がございましたら、お気軽にお問合せください。
お問い合わせ
MBGコーポレートサービスです。
今回は、シンガポールへの進出(会社設立)を検討していらっしゃる方々向けに、シンガポール現地法人と支店、駐在員事務所の違いを比較しながらご紹介いたします。
大国籍企業からベンチャー企業まで幅広い分野、規模の企業が進出しているシンガポールは今後もビジネスのハブとして選ばれ続けると言われております。
あたたかな気候から住みやすさでも人気のシンガポールでビジネスを始める際に考えられる事業形態しては、現地法人、支店、駐在員事務所の3つがおもです。
ここでは、それぞれの進出形態における手続きや許可されている事業活動の範囲等、現地法人、支店、駐在員事務所の違いについてみていきましょう。
現地法人と支店、駐在員事務所の定義とは
現地法人とは、シンガポールでの営業が可能な法人形態であり、本社が日本にあったとしてもシンガポール法人に生じた問題への法的責任や支払い債務は日本に及びません。
支店の場合、仮に裁判を起こされ損害賠償責任等が発生した際、本店に法的責任が及びます。
また、支店を設立した場合、会社(親会社)の単体決算上の売上高は減少しませんが、現地法人(子会社)を設立した場合、従来親会社の売上となっていた取引を子会社の取引に変更することで、親会社の単体決算上の売上が減少します。(連結決算上は変化なし)
利益及び損失についても同様です。
駐在員事務所は、Representative Officeとして表記され、外国企業がシンガポールに進出する際の最小の企業形態です。営業行為を含む本社と離れた業務を行う事ができません。
基本的な駐在員事務所の活動は、本社の販売促進におけるマーケティング活動と定義される事が多いです。
シンガポール現地法人設立、支店設立または駐在員事務所設立手続きにあたり必要なこと
現地法人、支店設立、駐在員事務所設立手続きにあたって必要書類、条件の観点から、ここではお話しさせて頂きます。
具体的な手続きの内容については別の記事(リンク : HTTPS//aaa)にてご紹介させていただきますが、現地法人設立の場合、定款等の作成に際して弊社のようなカンパニー・セクレタリー会社や法律事務所が用意しているひな型を利用して申請することができます。
一方、支店設立の場合は本店の登記簿謄本や定款を英訳し、公証を取得する必要があります。
駐在員事務所の場合は、英語で書かれた最新の監査済財務諸表と設立証明書を提出する必要があります。
現地法人設立の必要条件は、設立時に最低1名の株主と最低1名の取締役がいることです。株主については、法人株主も可能です。
一方、支店設立の場合は設立時に最低1名の代表権者 (Authorised Representative) が必要です。
駐在員事務所の場合は、本社が設立してから 3 年以上経っていることに加え、売り上げが約3千万円以上、シンガポールにおける駐在員が 5 人未満にすることが必要です。
駐在員の人数に関しても制限がつくところが、駐在員事務所のデメリットです。
シンガポールにおける各形態の場合の登記料
申請条件が分かったところで、ここでは現地法人、支店、駐在員事務所の場合の登記料に関して記載させて頂きます。
まず、現地法人設立、支店設の場合においては、設立申請時に商号申請手数料としてS$ 15、登記料としてS$ 300が必要です。
なお、駐在員事務所の場合には、設立申請手数料として年間S$ 200がかかります。
気を付けるべき点としては、毎年登録を更新する必要があることです。
シンガポールにおける法的規制事項
シンガポール現地法人設立後、担う法的義務において代表的なものは以下のとおりです。
1) 取締役会議事録、株主名簿等、法定書類及び帳簿の備付義務
2) 取締役の所有する株式の開示義務
3) ACRAに対する届出事項(取締役の交代や住所変更等)が支店よりも多い
4) カンパニー・セクレタリーを任命する必要がある
支店設立の場合においても、法人税の申告及び納税、監査済み決算書の提出等、一定のコンプライアンスを遵守する必要があります。
駐在員事務所の場合は、上記の条件はないものの2012年の法改訂で最大3年しか駐在員事務所形態をとれないため、計画的なプランや、シンガポールでのビジネスを継続する際にはいつ頃現地法人か支店に変更するのか含め考える必要があります。
現地法人、支店における決算期及び決算書作成期限
法的規制事項に加えて、避けられないコンプライアンスに決算期と決算書の作成期限があります。
シンガポール現地法人の場合は自由に決算期を決定することができます。
決算日から6ヵ月以内に株主総会を開催しなければならないのも現地法人の特徴で、この株主総会までに決算書を作成する必要があります。
日本の場合、決算日から3ヵ月以内に株主総会を開催しなければならないため、通常は最長5ヵ月以内となります。
一方、支店の場合は本店の決算期に合わせなければなりません。
また、本店の株主総会から2ヵ月以内に支店の場合は決算書を作成する必要があります。
現地法人、支店いずれの場合においても毎期決算終了後に決算書をACRAへ登記する必要があります。支店の場合は、支店の決算書に加えて本社(本店)の決算書も併せてACRAへ提出する必要があることも気を付けておくべきポイントの1つです。
シンガポールでの適応法人税率
ここからは、適用される法人税率に関してです。
法人税率は、現地法人、支店いずれの場合においても17%と比較した際の差異はありません。但し、支店は法人の経営上の意思決定(取締役会等)がシンガポール国外でなされることとなるため、税務上は非居住法人とみなされます。
租税条約の恩恵は居住法人に対してのみ適応されるため、支店は租税条約に基づく軽減税率や外国法人税の税額控除等の規定の適応外となります。(一部適応可能)
駐在員事務所の場合は、そもそも活動が不可能なため法人税が課されることはありません。
法人税に関しては、部分免税として現地法人、支店の場合においては、以下の免税優遇があります。
1) 課税所得の最初のS$10,000 に対して75%免税
2) 課税所得の次のS$190,000に対して 50%免税
日本よりシンガポールの場合は法人税が低く、また部分免税もあるため、現地法人、支店の場合は税金面でのメリットがあると言えます。
資金移動をする観点なら支店が有利?!
法人税の次は、資金移動に関する観点から、現地法人、支店、駐在員事務所を比較してみましょう。
親会社との間で資金移動を行う場合、シンガポール現地法人は親会社と賃貸借の形態をとる必要があります。
一方、支店は親会社の一部であり同一会社とみなされるため、その必要はありません。
よって、支店の場合の方が比較的簡単に資金移動を行うことが可能です。
駐在員事務所の場合は法人格を持たないため、資金という概念がありません。
シンガポールでの営業を終了(廃止)する場合の比較
最後に、営業を終了する場合の手続きの比較に関してご紹介します。
シンガポール現地法人の場合、清算人を指名して清算手続きを行う必要があります。また、最終納税が完了しない限りACRAによる清算承認が行われないため、多くの場合時間を要します。
一方、支店の場合は支店閉鎖通知(Notice by Foreign Company of Cessation of Business)をACRAへ届け出ることで手続きが完了します。
駐在員事務所に関しては、管轄機関であるEnterprise Singaporeで手続きを行う必要があります。
以上のように、現地法人、支店、駐在員事務所を設立に関して比較しましたが、いかがでしょうか。
MBGコーポレートサービスでは、現地法人設立、支店設立、駐在員事務所設立、いずれの形態においてもシンガポールへの進出にあたり必要となる各種お手続きを日本語にて総合的にサポートさせていただいております。
比較情報含め気になる点がございましたら、お気軽にお問合せください。
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