インドにおけるアセスメント

January 21, 2022

インドで経営に関与する中で、“アセスメント(Assessment)”という言葉をよく耳にします。
“アセスメント”をインターネットで検索すると、「評価」や「査定」という訳が表示されますが、インドにおけるアセスメントには、納税・申告側の評価・査定という意味と、税務当局側による処理・査定、および広義での税務調査も含まれています。

インドでの税務(財務)年度(Financial Year)は所得税法で4月~3月と規定されています。したがって、FY 2018-19と記載がある場合は、2018/4/1~2019/3/31を対象期間とする年度を指しています。

一方で、源泉徴収票や申告書にはAY (Assessment Year) 19-20との記載がありますが、AY 19-20 とは2019/4/1~2020/3/31が対象期間となります。つまり、Financial Year の1年後がAssessment Yearに該当し、FY 2018-19 とAY 2019-20はいずれも、2018/4/1~2019/3/31を対象期間とする税務年度(以下、2018年度)を指しています。

因みに、所得税法はAssessment Yearを前提に規定されていますので、所得税法におけるPrevious Yearとは、Assessment Yearからみた前年度、つまり、Financial Yearのことを指しています。

2018年度における法人所得税の申告期限は、移転価格を伴わない場合は2019/9/30(後日、通達により2020/10/31まで延長)、移転価格を伴う場合は2019/11/30となります。

納税・申告者である会社にとって、2019年度は、2018年度の会社の財務状況を評価し、申告を行う年度であることから、2019年度が2018年度のアセスメントを行う年度=Assessment Yearとなります。


納税・申告者による申告が行われた後、申告書を受理した税務当局は、随時、申告内容を処理・査定します。

処理・査定において疑義がある場合や、より詳細な確認が必要であると当局が判断した場合、当局より通知(Notice)が発行されます。第一回目の通知に関しては、Assessment Yearの最終日から6ヶ月が発行期限と規定されていますので、2018年度における当局からの通知発行期限は2020/9/30となります。

2020/9/30時点で当局から何も通知を受領していない場合、2018年度の税務申告書は問題なく処理されたと理解しても良いでしょう。ただし、現在はコロナ禍における特例措置が発行されており、この期限が2021/3/31まで延長されていますので、確定ではないことにご留意ください。

また、所得の申告漏れがあった場合には、通知の発行期限がAssessment Yearの最終日から4年(10万ルピー超の申告漏れの場合は6年)、所得の隠蔽があった場合には、その発行期限がAssessment Yearの最終日から16年と別途規定されています。(所得税法第148条)

尚、上記の通知は、以前は税務当局から、レターが納税・申告者の納税番号(PAN)に登録されている住所宛に発送されていましたが、現在は電子化されており、納税・申告者の納税番号(PAN)に登録されているメールアドレス宛にe-Notice(電子通知)が届く仕組みとなっています。

通知を受領した納税・申告者は、所得税当局のポータルを利用して要求される資料や情報をオンラインで提出し、税務当局とフェイスレスでやり取りを行うことになります。


今回は、インドにおけるアセスメントに関してご紹介させて頂きましたが、ご不明点等ございましたら下記のお問い合わせよりお気軽にご連絡ください。


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