インドにおける現地法人(非公開会社)の設立手続きについて流れとポイントを解説

March 28, 2024

インド進出支援の専門家がインドの現地法人(非公開会社)設立について解説

日系企業のインド進出形態は大きく4つ(現地法人/ 駐在員事務所/ 支店/ プロジェクト事務所)ございますが、今回はその中でも最も主流な、現地法人形態「Private Limited Company(以下、非公開会社)」の設立にかかる流れについて解説いたします。

  • 非公開会社の設立の流れ:
  1. 会社設立に必要となる事項の確定
  2. 最低1名のファーストダイレクターのDSC(電子署名証書)およびDIN(取締役番号)の申請・取得
  3. 現地法人の商号申請・取得*
  4. 会社設立証明書の申請・取得**
* 3で取得する商号は20日間有効です。
** 4の設立証明書を取得するための設立申請書を提出します。

1. 会社設立に必要となる事項の確定

非公開会社の設立は、書類の提出も含め、全てオンラインで手続きを行います。手続きの最初のステップは、以下のような必要事項の決定から始まります。

  1. 発起人(株主)
  2. 出資比率または出資金額
  3. 授権資本枠
  4. 払込資本金額
  5. 設立時の取締役(ファーストダイレクター)
  6. 会社の商号
  7. 登記住所
  8. 主な事業内容 など
  • ①発起人(株主)

インド会社法の規定により、非公開会社における株主は最低2名必要とされています。株主については、法人/個人どちらでも可能です。

数年前の会社法改正時に、一人株主会社の設立が可能となりましたが、一人株主会社を設立できる者は、インド国籍を保有し、且つインドに居住する自然人に限定されています。そのため、日系の法人による一人株主会社の設立はできません。

また、法人は名義株主とはなれませんが、なるべく100%子会社に近づけるため、社長または現地代表者など個人に1株を名義株として保有させることも可能です。

  • ②出資比率または出資金額

最低2名の株主確定後は、それぞれの株主による出資比率や出資金額を決定します。

  • ③授権資本枠

授権資本枠に応じて登録免許税および印紙税の金額が決定されます。

  • ④払込資本金額

③の授権資本枠内で実際に払込まれる資本金です。授権資本枠と実際に払込まれる資本金の差額内で増資を行うことは比較的容易です。

もしその差額を超えて増資を行う場合は、株主総会を開催し、再度差額分にかかる印紙税を納付する必要が生じます。

  • ⑤設立時の取締役(ファーストダイレクター)

設立時に任命される、つまり定款に記載される取締役はファーストダイレクターと呼ばれます。

取締役に就任するためには、身分証明書(通常パスポートコピーを使用)、2ヶ月以内の住所証明書(住所が特定できる公共料金明細書、銀行の明細書や携帯番号の明細書など)を英文で用意する必要があります。また、それら書類がインド国外で発行されている場合は、英語訳に加え、発行国の公証および外務省(または大使館)認証を受け、外国文書化を行います。

尚、身分証明書や住所証明書の他にも、利益相反確認書などの書類も用意します。

  • ⑥会社の商号

商号の申請は、ROC(会社登記局)に対して行います。既存の会社と類似している会社名は却下されるため、商号の案は3つ程用意しておくことを推奨しています。

申請書類に不備がなく、類似の商号もない場合は、通常7営業日程で承認許可が出たかの通知が届きます。また、取得した商号は20日間有効です。

  • ⑦登記住所

登記住所はインド国内であればどこでも構いませんが、設立時に実際にその住所が存在することを証明できる公共料金明細書などを入手することが必要です。

  • ⑧主な事業内容など

定款の主目的に該当する事業内容を設立申請書に記載する必要があります。もちろん、定款作成時にも必要となるものですが、将来的に行う可能性がある事業内容も考慮し、幅広く記載することが一般的です。

2. 会社設立の申請

⑥で取得した商号は20日間のみ有効なので、設立登記申請は商号使用承認から20日以内に完了させる必要がございます。

そのため、商号が有効である20日以内に、企業省(ROC)に設立申書の提出を行う必要があります。(設立の完了自体は20日を超えても構いません。)

尚、上記①~⑧の情報および取締役や株主による各書類をオンラインで提出し、申請を行います。

3. 会社設立後にやるべきこと

  会社の設立証明書が取得できたら、以下の作業を行います。  
  • ①第一回取締役会の開催
会社法において、法定監査人を設立後30日以内に任命し、登記局に報告しなければなりません。 法定監査人は取締役会での決議事項となりますので、通常、第一回目の取締役会をCOI(設立証明書)の取得から30日以内に開催し、任命を行います。 法定監査人の任命以外にも、以下のような会社設立にかかる主な事項を決議します。
  • 法定監査人の選定
  • 口座開設予定銀行の選定
  • 設立にかかった諸経費の承認(登録免許税、印紙税、コンサルフィーなど)
  • 設立時に登録した、ファーストダイレクターの確認
等があります。
  • ②銀行口座開設および資本金送金
設立後、現地法人名義で銀行口座を開設する必要があります。 口座を開設した後、各株主から資本金の送金を受けることになります。
  • ③株式割当手続きおよびRBIへの報告
設立後60日以内に株式割当を行い、株式割当から30日以内に、RBI(インド準備銀行)に対して資本金着金および株主割当に関する報告をする必要があります。   会社設立にかかる大まかな流れは以上となり、ここまで終了すれば、無事に資本金を使い事業を開始することが出来ます。          
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